経営者が知っておきたい勤怠管理(後編)

従業員の過労死という最悪の事態となった例

労働時間管理、勤怠管理をしっかりしておかなかったことで、労働者が激務で追い込まれ、最悪の事態になったという例を紹介します。
勤怠管理は使用者の義務です。
しかし実際には勤怠管理をあまり理解していない状態で、しているつもりになっている使用者もいますし、全くできていないこともあります。

仕事によっては期間内に作り上げなければならないという業務もあります。
残業が多くなれば当然勤怠管理しなければならないのですが、この企業は業務日報によって残業などの管理を行っていました。
業務に従事していた時間帯を30分単位で記録するという事になっており、これを従業員の労働時間管理に用い、人件費の計算にも利用していました。

自分が担当する製品の原価が高い場合、従業員の人事評価に響くという事になるので、実労働時間数よりも少ない時間数を会社に申告するという困った習慣がもともとありました。
使用者側もこれを把握していたのですが、黙認していたことで大きな悲劇となってしまうのです。

過労死となった方の就労実態

過労死された方をAさんとします。
Aさんは、会社内でも評判の優秀な技術者で、従業員間でも信頼が厚く優秀な人材でした。
残業をしていないような、慣習となってしまっている業務日報とは違い、実際には毎日夜遅くまで残業を繰り返し行っていたのです。
納期に間に合わせなくてはならない、という気持ちから泊まり込みで作業する事もあり、睡眠時間はあまり取れていない状況でした。
しかも休日すら、しっかり取っていなかったのです。

評価が高い技術者であるAさんは、別の部署の従業員から質問や相談を受ける事も多く、新規の重要な案件に関してもAさんのところに持ち込まれ、次第に業務が激務となっていきました。
こうした状況が半年以上継続し、Aさんは次第に体調を崩していったのですが、責任感の強さもあって必死に努力し続けたのです。

まだ30代という若さだったAさんの身体はすでに限界を超えていたのです。
酷使し続けた体はとうとう悲鳴を上げ、ある冬の朝、寝ている間に致死性の不整脈を発し、その尊い命を失ってしまったのです。

遺族には妻と幼い子供がいます。
Aさんの妻は死亡の原因が、荷重業務が原因の過労死であるとして、労働基準監督署より労災認定を受けました。
Aさんは会社を提訴、妻と会社の間で最終的に和解が成立したのですが、会社は遺族に対し、5000万円の支払いを行いました。

勤怠管理を行わないという事

勤怠管理を行わない、はっきり把握していないという状態は、使用者の義務を果たしていません。
激務で人が亡くなってからでは遅いのです。
従業員が気持ちよく、適切な管理の中で健康的に仕事ができるように、使用者は従業員の労働管理をしっかりと行わなくてはなりません。

過労死という所まで行ってしまった悲しい出来事ですが、こうしたことは各地で起っていることです。
今一度、勤怠管理という事をしっかりと考えてほしいのです。