覚書や念書が意味すること

会社との契約を文書として残す

労使に関するトラブルは全国で数多く起こっていることです。

しかしトラブルがこじれてしまう場合としてよく見られるのが、「言った」「言わない」ということがあとから確認ができないという事例です。

「言った」「言わない」が問題になるのは会社と労働者側が交わした約束についてあとから確認がとれないというような場合です。

いわゆる口約束ですが労働者の側も完全に証拠がない状態ではあとから争いになっても全く証明をすることができませんので、何か約束を取り付ける場合には何らかの形で書面を残すようにしているのが一般的です。

こうした事前の約束事を書面にして残す方法にもいくつかの種類があり、「覚書」「念書」といった言い方をすることがあります。

「覚書」や「念書」は労使契約に限らず一般の民間契約を行う場合に登場する言葉となっており、どういった形式で書面を作成したかによって種類が分けられています。

ただ正式な契約書としての体裁をとらずに残された書面であるため、法的な効力ということでは有効とされる場合とそうでない場合とが発生してしまいます。

証拠としての効力を残すためには

労使契約においてトラブルが発生をしたときには、解決のためにはどちらの主張が正しいかということを客観的な第三者機関に判断をしてもらうことになります。

言った言わないで争いが起こっている場合には、客観的な第三者が見てどちらの言い分が正しいかということを判断することができませんので、証拠がないものとして言わなかったと主張する方に従うことになってしまいます。

しかし言葉だけではなくメモ用紙のような紙に走り書きのようにして書かれたものだけが残っていたらどうでしょう。

こうした正式な書式ではなく「一筆書いてもらう」程度のものを「念書」といいます。

「念書」として認められるためには、内容が明確であることとそれを書いた人が署名や捺印をしているということが必要になりますが、基本的にはあとから別の人が見てもその内容が明らかであり書いた人がはっきりわかるようになっていれば証拠として認められることにあんっています。

念書よりもさらに証拠能力を高めるために作成するのが「覚書」と言われる書面であり、こちらはメモ書きのような簡易なものではなくきちんと同じ文面のものを2部作成しそれぞれに当事者がお互いが署名捺印をしてお互いに保管をするという方法が取られます。

「覚書」をすることで後から書面の内容を一方的に改ざんしたり変更したりすることができなくなるため、もし争いがこじれた場合にもこの覚書の記載内容をもとに解決の手段がとられていくようになります。

簡単な約束でも書面にしておきましょう

労使関連であとからトラブルになりやすい契約上の問題例としては「何ヶ月働いたら正社員にする」「この仕事がうまくいったら支店長に推薦する」「次の賞与は倍額にする」などといったその時になんとなく勢いで口にしてしまいやすい事例です。

言った側にしてみれば、それで実務を行う人の士気を高めるつもりなのでしょうが、言われた側にしてみればそれを信じて労働力を提供するわけですから、あとから「あれはただの冗談だった」というように言われたときの失望感は相当なものになります。

そうしたトラブルを防ぐためにも、もし労使関連についての口約束を提示されたら、どのような形であってもきちんと書面にして残してもらうようにしましょう。

ボイスレコーダーによる録音や、個人的に送られてくるメールも客観的な証拠として機能は持ちますが、やはり法的効力ということでいうと書面にするのが一番効果があります。